「月額賃料も予算内だし、立地も最高。この物件に決めよう!」
……その一歩前に、必ず確認していただきたいことがあります。
それは「工事区分」です。
ここを曖昧にしたまま契約すると、入居時、あるいは数年後の退去時に「予定外の数百万円」が吹き飛ぶ可能性があります。今回は、オフィス移転で最もトラブルになりやすい「B工事」の正体について、専門用語を噛み砕いて解説します。

1. そもそも「A・B・C工事」とは?
オフィスや店舗の工事は、誰が費用を払い、誰が業者を決めるかによって、以下の3つに分かれます。
| 区分 | 費用負担 | 業者指定 | 主な内容 |
| A工事 | オーナー | オーナー | ビルの外壁、エレベーター、共用トイレなど |
| B工事 | 入居者 | オーナー | 空調、防災(スプリンクラー)、電気系統など |
| C工事 | 入居者 | 入居者 | 内装、間仕切り、電話・ネット配線など |
ここで注目すべきは「B工事」です。
「お金を払うのは自分なのに、業者はオーナーが指定する」という、入居者にとって少し不利なルールになっています。
2. なぜ「B工事」が経営を圧迫するのか
B工事がトラブルの元になる最大の理由は、「価格競争が起きないこと」です。 オーナー指定業者が施工するため相見積もりが取れず、市場価格より割高になるケースが多々あります。さらに、内容を精査しないまま発注してしまうと、本来不要な費用まで支払ってしまうリスクがあるのです。また、物件から退去する際の原状回復工事も原則「B工事」となるので、その点も注意が必要です。
3. 【実録】「50万円」の見積もりが「10数万円」に?
先日、弊社でスケルトン物件を仲介した際の実話をご紹介します。
その物件では、消防設備の設置が「B工事」に指定されており、指定業者から上がってきた見積額は約50万円でした。
「B工事だから仕方ないか……」と諦めてしまいそうな金額ですが、弊社で詳細を1項目ずつ精査したところ、今回のレイアウトでは本来不要な設備や、過剰な項目が含まれていることが判明。
すぐさまオーナー様および施工業者と交渉・調整を行った結果、最終的な費用は20万円以下まで抑えることができました。
もし内容をチェックせずにそのまま契約・発注していたら、30万円以上の資金が「不要な設備」に消えていたことになります。この差は経営において決して小さくありません。

3. 失敗しないための「契約前」の立ち回り
物件を決める前に、以下の3点を仲介担当者に確認させてください。
「B工事の範囲」はどこまでか? (例:照明の位置を変えるだけでB工事になるのか?)
指定業者の「単価」はどのくらいか? (過去の施工実績から概算を出せるか確認する)
「B工事をC工事へ」変更交渉できるか? (契約前であれば、一部を自社指定の業者で工事できるよう交渉の余地があります)
まとめ:物件選びは「出口」のコストまで計算を
「坪単価」の安さは魅力的ですが、それはコストの一部に過ぎません。入居から退去までトータルでいくらかかるのか。それを見極めるのが、賢いオフィス選びの鉄則です。
弊社なら、物件紹介+コストリスク診断で、貴社の最適なオフィス・店舗選びを伴走支援します。








